ルイスの価電子理論では価電子の性質として次のように述べている。
各原子は電子殻を有し、(多くの場合)電子殻に存在する価電子の最大数は8である。
結合している原子同士は電子対を移動させることで価電子を共有する。すなわち、この場合の電子は対をなして移動する。
ルイスは価電子理論をボーアの電子モデルとは独立して提唱している(ルイス自身は価電子理論の論文でボーア・モデルに対して否定的な見解を示している)。
あわせてルイスは化合物における価電子の共有状態を現すために、ルイスの電子式(ルイス化学式)を提案している。すなわち化合物の原子を結合している物同士が隣接するように配置し、共有している価電子を該当する元素記号の間隙の二つの点で表現する図式である。ルイス化学式は価電子論の表現形なので1つの元素記号の周囲の点の数の最大値は8になる。また、ルイスが指摘しているように二つの原子の間の電子の共有は電子対を単位とするので、ルイス化学式においても共有されている電子は必ず対を形成している。
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ルイスは電子殻の概念を提唱はしているが、「なぜ電子殻を構成する価電子の最大数が8であるか」、「なぜ電子は対で動くのか」とか、「電子殻を共有するということがなぜ生ずるのか」という原因については説明しきれておらず、価電子の理論を仮説として有機電子論を構築している。
実際、これらの仮説の疑問に対する解答には量子化学的な化学結合の解釈が必要となる。例えば、電子殻の最大数は原子軌道の数で規定されており、そのために価電子の最大数が決定されている。また電子が対で動くのは、各原子軌道にはパウリの禁止律により最大2電子しか占有できず、フント則で示されているように軌道上に単独の電子が存在するよりも軌道上の電子対の方がエネルギー的に安定な為である。